★コロナ感染、日本の現況、医療危機はもう起きている
2020-04-09


昨日(8日)何人かの知り合いの医師の話を聞き、児玉龍彦氏のビデオ解説を見て、さらに澁谷健司WHO上級顧問のインタヴューを読んで、日本でコロナウイルス感染の状況がどうなっているのかがはっきり見えてきた。

・日々感染者数等の数値は出ているが、日本では感染状況はまったくわからない。なぜなら、当初から広範には検査しないという方針をとっているから。検査する保健所のキャパがないので、確実な感染軸を追ってその周辺を潰すという方式。
 不安だけで人びとが検査に殺到すると医療側が追いつかず、重篤者に対処できなくなる(少ない医療資源の効率的活用?)。

・その結果、実際には広範に広まっている感染状況がまったく把握できなくなっている。

・現在の医療現場(東京都を念頭に)から見えること――
 多くの人が症状を疑っても検査してもらえない。その人たちが外来診療に行くと、感染症対応のできていない部署で「院内感染」が発生。そのため病院機能を一時閉鎖しなければならない(永寿病院→慶応病院の例)。一般外来できず、救急対応できず。このような状況が少なからぬ病院で起きている。不明なままの「濃厚接触」で、医師・看護師等も現場を離れざるを得ず、もともとこの間の医療行政で切り詰められていた「医療資源」がこれで逼迫。事実上、医療体制はコロナウイルスの感染拡大に対応できなくなっている。

 それでも検査を拡大しないから(できないのではなく、しない。それがクルーズ船以来の厚生省―保健所、および政府専門委員会の方針)、感染が不特定に広がり、前線に立つはずの医療機関からまず機能不全に陥ってゆく。実情不明が、医療現場自体の危機(人的・物的・組織的)を招いてしまっているのだ。

・何が「手遅れ」かと言えば、検査を極限して顕在化したところから辿るといういわゆる「クラスター作戦」(医療崩壊を防ぐ、つまり医療体制に合わせてこれを守る)がとっくに破綻していることを認めず、逆に医療崩壊を招いてしまったということ。もっと早く方針転換すべきだった(英のジョンソン首相は、遅まきに転換したが、そのときには自分自身が感染していた)。

・いま、政権と医師団体は自己利害からしか対応策を打ち出せず(政権はアベノミクス経済護持・支持率護持・火事場泥棒緊急事態 etc. 医師団体は既存体制保持、そこでの自己権益)、行政機構はこの間のアベ全能支配下で保守・保身・自己利益の蟻塚と化しており、徹底して都合の悪い検査を拒む態勢。それが現在の状況を生んでいる。

・じつは現政権が緊急事態を発令するかどうかの問題ではない。それを委ねられる権力かどうかの問題だ。そうではないことをこの間のコロナ対策の事情が示している(わたしが「緊急事態発令」に反対し、「民衆自衛」しかないと言ってきたのはこのことだ)。実効性ある措置要求と退陣要求(責任を取れということだが、それが理解できないようだ)。

・人の命が…と言うのなら、四の五の言わずに急遽医療体制整えて(病院も急造して)、生活は保障するから不要不急の移動は控えて、と要請すればいい。が、残念ながら、日本ではそういう状況になりそうにない。医師たちも、姿勢が自己利益化しているのが多いから、組織的機能不全がすぐに一般化するという話もある(「鰯は頭から腐る」の弊害がここにも)。

・児玉氏の結論――「政治を科学の上においてはいけない、信頼できるリーダーを」
(これは中国の例も念頭に言われている。習近平は独裁者だと言われるが、安倍も事実上「無謬の権力」を行使している。習はSARS対策を指導した実績ある医師にコロナ対策を任せた。この件に関して「科学を政治の上においた」のだ。ところが安倍は、よく知られているように自分に都合のよい専門家しか政府委員にしない。その違いだ。)

★児玉龍彦、デモクラTV :[URL]

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