「GoToキャンペーン」のトラブル
2020-07-16


7月16日、東京で感染者数280を超える(検査数4000)。政府はまだ22日開始予定の「GoToトラブル」を止める気配はない。16日に専門家の意見を聞いて検討としている。

 「GoToキャンペーン」ルはコロナ禍流行で最大の「被害」を受けた観光業を救うためのもの。しかし直接支援ではなく、国民にインセンティヴを与えて旅行に行かせると、支援したものがそのまま消費に回り、観光業が息をつくというもの。つまり、国民(インバウンドも)を移動させて消費を作りだす。

 これが「布マスク2枚」(胡乱な経路で届かぬ不良品)につぐ、政府の鳴り物入りのコロナ対策(最初は感染防止、二度目は経済回復)。しかし折から首都東京(ここから旅行者が出かける)では感染者数が増え続ける。だからこのキャンペーンは小池が皮肉に言うように、「ブレーキかけてアクセル噴かせ」と言うようなもの。あるいは、経済を回すために文字どおり人間を動かす(必然的に感染拡大)というもの。ここに現政権の倒錯的政策きわまる(「消費に回らない支援は無意味」それが「経済を回す」ことの意味)。

 だから地方では東京からの人の移入を嫌って、「人災」だとして観光施設を閉じるところも出てくる。すると「安全安心な旅行を楽しむため」に「三密を避けて食事も家族で、そして部屋から出ないで…」と小学校の先生のようにご教示くださる。では、何のための観光旅行なのか。NHKの視聴者をバカにした子供向けニュース解説番組でも、解説者も分かりやしようと努力すればするほど、ホントのことに近づいて冷や汗かいて解説、の挙句に多少はおかしさを指摘せざるをえなくなる(14日夕の放送)。

 そしてそういう時には「専門家」にもたれる。「専門家の方々のご意見を聞いて…」と、あたかも「専門家」が決めるかのような言い方で、責任をごまかす。だが、政策決定の責任は政府だろう。そんなふうに利用されて愛想が尽きたはずの「専門家」尾身某氏は、しかしこの段で自分も責任を負わされるのがいやだから、「旅行が悪いわけではない」と言う。自分は感染症の専門家であって、旅行の専門家ではないとばかり。それにしては「経済の回復は大切」とかも言う。それがこの国の政府と専門家の関係だ(福島事故以来、この関係は確立された――どちらも原発継続の社会的責任をとらない)。

 それと、「専門知識」で世間を煙に巻いて、何のためか「やたらとPCR検査をしても混乱するだけ」と、検査が必要と訴える専門家や一般の人たちを「PCR原理主義」と批判して叩いてまわる連中もいる。だがそれは統計処理の実効性の話であって、感染防止の話ではない。「間違った数値」がたくさん出ると医療体制が逼迫して病院関係者がパンクする、だから検査はするな、というのも倒錯でしかない。小池知事も「検査数を増やしているから(今6000キャパのうち4000件)感染者数が増えるのは予想の範囲」と言っている。しかし、検査をしなければ感染状況はまともに推測(いずれにしても)できないのだ。

(体調がおかしくて病院に行っても、「検査はむだだ、しない方がいい」と力説する医師もいるようだ。では診断はどうなるのか? コロナ感染かどうか診断するには検査がいる。その検査をするなというのは、医師が診断をムダだと言っていることになる。じゃ、医者も病院もいらないじゃないか?という話だ。「検査をさせるな」という連中は、中身を問題にせずに数字で好きな結果を出して意味づける統計学の最悪の側面を利用しているだけ。)


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